透明水彩


この時代の莱に会えなくなると、あたしはそう思っていただけだった。

でも、莱に言われて気がついた。
過去が変われば、未来も変わる。
あたしと莱は、出会う機会をなくしてしまったのだ。

この時代が平和になるのと引き換えに、あたしの大切な人の中からあたしの存在は消える。


「元々、叶わないってのはわかってたんです、最初から。生きる時代が、違うから。
それでも忘れちゃうってのは、また違いますよね。」


あたしが過去に戻ったあと、抗争に関わる歴史はリセットされて、荒廃した土地も全て元通り。

死んだ人々がどうなるのかはわからないけれど、莱は今とは違った環境で、幸せに暮らせるのだろう。

…――でも、それならそれでいいんじゃないの?

莱が幸せに生きれるのであれば、あたしの存在なんて、どうでも。


「……あたしのことなんて、忘れていいよ。」


不意にそうあたしが零した言葉に、莱は驚いたようにあたしへと視線を向けた。