刹那、クラリと視界が揺れる。
力が抜けていく感覚に、何だかほっとした。


「美凪……?」


倒れ込むのを理人に支えられ、心配そうな瞳があたしを覗く。
そっと理人の頬に触れれば、あたたかかった。


「ごめ、んね……。勝手なことばっかり、して……」

「全くだ。何で無茶ばかり…」

「許せな、かったの。……あたしの気持ち、理人ならわかってくれる、でしょ?」


言ってることが狡いってことも、相変わらず自分本位だってことも、そんなのはわかっていたけれど。

今ごろ沸き上がる恐怖感を隠すために、そう言って笑って見せた。


「………人、殺し。」


刹那、向こう側から聞こえた声が、すでに遠くなり始めた耳に微かに届く。

ケイと湊がその方向へ銃を構えて警戒すれば、彼女はゆっくりと立ち上がった。


「人殺しっ!」


そう叫び、あたしを憎悪を込めた瞳で睨みつけながら。