透明水彩


ゆっくりと頬を涙が伝っていく。
どうして今泣いているのかなんて、わからないけど。


「美凪、ダメだ。そんなこと、お前は望んじゃいねぇだろうが。」


そんな中、微かに聞こえたケイの声。
でもそれじゃあ、あたしが望んでることって何なんだろう。わからないね。

こそこそとした会話を続けるあたし達に、武装集団がしだいにざわめきだす。
でもまだ、リングが発動していることは春水さんや彼らにはバレていないだろう。だから、今がチャンスだ。

どうせこのままだったら、みんなが死んでしまう。
あたしだけならまだしも、みんなまで……。

リングの石は、前の時よりも赤く、悲しげに光る。
リングの話を聞かされた日、もう絶対に使ったりしないと、そう思ってたのにね。

あたしのために、あたしのせいで、みんなを死なせるわけにはいかない。

そしてそれ以上にあたしは、お父さんやお母さんを裏切って殺したアイツが、許せない。

アイツがいなければ、両親は死ななかった。誰も傷つかなかった。抗争自体、起こらなかった。