透明水彩


「……げっ、隊長、理人さん、ちょっとヤバいっすよ。」


湊が引き攣った笑みでそう零す通り、今の状況はヤバい。
ざっと見ても、武装集団の数は十数名。それらが全員銃を構えてあたし達を囲んでいるんだから、逃げ場なんてない。


「最近、水面下で組織拡大を目論んでいてね。ROSAが衰退した以上、我らこそが頂点にいなければなるまい。そのための、武力さ。」


追い詰められるように、あたしを庇うように、あたしの前へと立ち塞がる3人。
でもどんなに3人が強いからって、この場を打破できそうにも無いことは明白だった。


「秋臣には悪いが、アイツは自分が優秀すぎたことをまず恨むべきだ。
何しろ、そんなリングさえ作らなければ反乱勢力が大きくなることはなかったし、あんな装置なんて作らなければ大切な娘を二度も死なせなくて済んだのだからね。」


秋臣――お父さん……。

そうだ。さっき聞いたのは芹奈さんがCROCEにいる理由であって、春水さんがお父さんを裏切った理由ではない。