死にたくはないのか、あたしは…
この時代の自分ほど、強い意志は持ち合わせてないらしい。
「……まぁいいわ。だからあの日、上手く情報を操作してあえて婚約の翌日に再奇襲をかけたの。そしたらアナタ、わざわざ自分から死んでくれるんだもんね。いまどき、自己犠牲なんて流行らないわよ。」
ニヤリ、と口元に綺麗な弧を描く芹奈さん。その背後では相変わらず春水さんが楽しそうに笑っているけれど、話す気配も動く気配もない。
「でもそれで、ようやく終わったと思ったのに。私もまた、藤倉君に会えるような世界になったと思っていたのに。
……7年前から、アナタがやって来た。」
こめかみに銃があてがわれたまま、強く右肩を掴まれる。あたしに向けられる瞳は、狂気に満ちていた。
「美凪が死んでからもずっと、藤倉君が美凪を想っていたこと、私知ってたの。それなのにアナタは、別の男をたぶらかしたんでしょう?藤倉君もいるのに…!」
“何で莱を巻き込むの?美凪さんには、理人さんがいるじゃん。”
芹奈さんの言葉に、フラッシュバックした記憶が重なった。
そうだよあたし、芽梨ちゃんにも同じようなこと言われたんだっけ。
芽梨ちゃんがスパイだったのだと、確信した瞬間だった。


