でも、そんなことより。
やっぱり、スパイはいた。
今現在も、仲間内に。
その事実が、思いの外重くのしかかる。
「だからね、美凪。私はアナタが嫌いなの。居なくなればいいって、思ってる。だからこそパパとママがやってきたことに、私も加わったの。リングも兵器も興味ないわ。ただ、アナタから藤倉君を離したかった。」
妹分、さっきそう言っていたから、スパイは藍香か芽梨ちゃんか。
でも藍香はおそらく、ずっとあたしと理人と一緒だっただろうし、仮に一緒じゃなかったとしても、今の藍香が何か変なら理人が気づくはず。
それなら、スパイは芽梨ちゃん……?
チェリーピンクの髪色が脳裏に浮かんでは消える。
刹那、こめかみに感じたヒヤリとした感触。
硬い物質が押し当てられ、すぐさまそれが芹奈さんが握る銃の先だと理解した。
「……聞いてる?私の話。」
そう耳元で囁かれ、恐る恐る首を縦に振る。
と同時に、自ら単身乗り込んで来ながら、撃たれることに恐怖を抱いている自分自身に気がついた。


