透明水彩


「何なの?ですって?わからないの?
…――私にとってもパパにとっても、“美凪の存在が邪魔だった。美凪が居なければ全て上手くいく。”ただ、それだけのことよ。」


あたしが、邪魔……
あたしが、居なければ……

まさに今の状況を責められているようで、胸が痛い。
この時代のあたしが何をしたのかなんてわからないけれど、とても苦しい。


「ずっと、藤倉君は美凪のことばっかりだった。何かあればすぐ、美凪のことを心配して。いつも、一緒に居て。そしてあげくの果てに婚約……?全く、笑わせる。」


やっぱり、藤倉は理人のことだった。
この時代のあたしも、今のあたしと変わらずに、理人に頼りきりだった。


「私が2人にとって敵だったことを知ってからは、簡単に近づくこともできなくなったわ。好きで好きで、会いたくて。何とか情報だけでも掴むために送り込んだ妹分からの待ち焦がれた報告が、“理人さんと美凪さん、婚約したみたいです”だなんて、私がどんな気持ちになったか、美凪にわかる?」


切実な想いが、ダイレクトに流れ込んで来る。
鋭い瞳が微かに揺らいだ気がして、あたしが何故か、泣きたくなった。