と言っても、行く所なんて限られている。
真っ暗な階段を電気も付けず、手すりを頼って上りきり、向かったのは厨房。
泣き腫らした目を冷やすように冷水で顔を洗い、ミネラルウォーターで喉を潤した。
それでも、気持ちが晴れることも、落ち着くこともなく、大広間のソファーにぽつり、膝を抱えてうずくまる。
真っ暗な室内、転倒防止に付けられている小さい豆電球だけが光源。
再び沸き上がる恐怖と不安に、早々と部屋を出る。
…――ひとりぼっち。
まさにその言葉が、今のあたしにピッタリだと思った。
ただ、不安で、怖くて。
悪いのはあたしだと、それはわかっているけれど。
飛び散る血が、やっぱり頭から離れない。
思い出す、記憶。
残される、恐怖。
消えゆく、大切なもの。
震え出してままならない手足を必死に動かし、無我夢中でアジト内を移動する。
どこに向かっているのか、とか、自分が今何を考えているのか、とか、まるで何も理解することができないままに。


