透明水彩


「……ナギ、」


横に気配を感じると同時に、不意にかけられた声に耳を傾ける。
視界の端で、鮮やかな金髪が揺れた。


「敵はそんなに、強い集団ではなかったぜ。ただ、アイツが油断しただけだ。だからお前が、そんなに責任感じる必要ねぇよ。」


気遣ってくれているのか、哀れんでいるだけなのか。
一回も視線を向けなかったため、湊の真意はわからない。

けれどあたしが何も答えないまま湊は踵を返し、階段の闇へと消えた。

そしてそれと入れ替わるように、医務室から2人が出てきた。だけど理人もケイも、あたしの頭に数回触れただけで、階段へと消えていく。

誰も、あたしを責めてくれないのか。

責めて、責めて、罵倒して。
全てあたしのせいだと、そう罵られた方がよっぽどラクだったのに。

再びガラス越しに、莱へと視線を送る。
たくさんのチューブやコード、酸素マスクが繋がれた莱は、やっぱり身動き一つしなかった。