透明水彩


ぎゅっと強く握られた左手。灯っていた赤は、次第にその色を散らしていく。


「ダメ、ですよ。」

「……莱?」

「ダメです、美凪サン。そんな大規模、燃やしたりなんか、したら、美凪サンが、死んじゃうかも、じゃないですか。」


あたしの耳元で、莱はそう言った。
このままだったら、2人とも死んじゃうかもしれないのに。


「でも莱、これしか……、」

「もう、美凪サンが死んじゃうの、嫌なんです、俺。それだけはもう、見たく、な、い……、」


そこまで言うとともに、ガクンと莱の体の力が抜けた。


「莱?」


呼び掛けても反応は無くて、微かに聞こえる呼吸と鼓動だけが、莱が生きているということを認識させる。

涙は未だ、止まらなかった。
あたしのせいだと、責めることしかできなかった。

聞こえ続ける破裂音と、時折爆ぜる周囲に怯えながら、ただ、血だらけの莱を抱きしめて、応援が来るのを待つしかできなかった。