透明水彩


伝わってくる体温は、あたしを安心させるような、優しい温度。
でも響く鼓動は乱れている上に弱々しくて、莱が消えてしまいそうで、怖かった。

刹那、どこからかの光が反射したのか、あたしの左手で何かが赤く光った。

何かと思えば、それはリングで。
あたかも自分の存在を主張するかのように、赤く輝く。

そしてふと、そのリングの能力が頭を過ぎった。これを使えば、今の状況を打破できる。敵を全て跡形無く燃やしてしまえば、あたしたちは助かる。

何で早く、思い出さなかったんだろう。この殺人兵器の存在を。これこそが全ての、発端であるというのに。

莱に半ば抱きしめられているような体勢で、ゆっくりとリングに集中する。

あの日同様赤く灯るガーネットのような石は、徐々にその赤さを増していった。

…――もう、少し。

そう思い、あたし達がいる窪みを囲んでいるであろう敵の姿を想像する。

このまま、燃やしてしまえば……。

その思いだけでさらにリングへと集中しようとした刹那、莱の手があたしの集中を妨げた。