「良かった、……」
…――何が、良かったのだろう。
あたしのわがままで、こんな怪我までして。
狙われているのはあたしなのに、あたしは今、かすり傷程度の傷しか負っていないというのに。
「……良く、なんてないでしょ。莱が、こんなに血だらけなのに……」
「泣か、ないで、下さいよ。俺、の、不注意、です。もっと早く、尾行に気づく、べきでした。」
不注意、なんかじゃない。
あたしが今朝、あんなわがままを言わなければこんなことにはならなかった。
芽梨ちゃんが莱に言っていた通り、莱があたしのために危険を冒す必要はなかったんだ。
「また、ミスっちゃいましたー…。理人サンに、合わす、顔、ないです、ねー」
でも、「莱のせいじゃない。」と紡ごうとした刹那、頭上で再び破裂音が響いた。
びくり、と体が揺れる。そんなあたしを見て、莱がボロボロの体を無理矢理動かした。
「下がってて、下さい。さっき、最初に撃たれたときに、応援は呼んでおきました、から。それがくるまで、堪えれば、助かります、よ。」
そう言って、自らを楯にするかの如く、あたしを抱きしめるように。


