透明水彩


最悪の事態が起きた、と思った。
あたしのわがままで、結局最悪の事態を引き起こしてしまった。

冷たい汗が、吹き出す。
手足が、震える。


「……っ!美凪サン伏せてっ!」


そんな中、先手に出たのは相手側だった。
凄まじい破裂音が耳に届いたと同時に、あたしは強い力で地面へと引き寄せられる。

それが莱によって伏せられたのだと理解するまで、およそ3秒。
そしてそのときまた、2発の破裂音が響いたと同時に、目の前の地面が爆ぜた。赤い雫が、あたしの頬を伝った。


「つ……っ!」

「…――ら、い…?」


腹部を押さえ、蹲る莱。
一瞬の出来事に頭がついていかず、今の状況を理解できないまま、あたしはゆっくりと自分の体を起こす。

そして傍らの莱に触れれば、いつか経験したときのように、赤い液体があたしの手を濡らした。