透明水彩


けれど、あたしがいたことは莱にバレていたらしく、廊下に出るや否や、彼は盛大なため息をついてあたしへと視線を向ける。


「……美凪サン、見てたんですかー?」

「あ、うん。ごめん。見るつもりは、なかったんだけど。」

「別にいいですけど。美凪サンも、趣味悪いですねー。」


そして、そう言っていたずらに笑うから、渦巻いていた緊張感はどこかに消え去り、温かい気持ちになった。


「……んじゃ、行きますか。」

「うん。」


莱に続いて階段を上がり、アジトの外へと踏み出す。
けれど、今日のアジトの外は微妙な天気。

雨、とはいかないけれど、分厚い雲が空一面を覆い、何だか憂鬱な気分になった。

だけど今さら、そんなことで引き下がるわけにはいかない。
莱には、あたしのわがままに付き合わせてる訳だし。

だから莱の後ろを追い掛けて、黙々と歩を進めた。