透明水彩


「うん、そうだね。美凪の気持ちは、俺が1番良くわかってる。
……でも莱、本気で言ってるの?莱は前回しくじってもいるんだよ。もう、ミスは許されない。」

「ハイ。そんなこと、冗談で言う訳ないじゃないですか。
今度は絶対、命に代えても美凪サンを守ります。」


はっきりとそう断言した莱を見て、理人は諦めたように再度大きく息を吐く。そして、続けた。


「……幸い、午前中の時間帯なら敵の動きは極端に少ない。美凪のこと、頼んでもいいかい?」

「ハイ、もちろんです。自分から言い出したことですし。」

「そうか。でも万が一、敵の襲撃にあうようなことがあったら、すぐに道を引き返せ。」

「わかりました。」


重々しい空気に包まれたまま、ほとんど会話もなくそのまま朝食を終えた。無理矢理詰め込んだからか、料理の味なんか全くわからなかった。


「……10分後、いつものゲートの前で待ってます。」


そして、あたしにそう囁いた莱が大広間を出て行くのを見送る。芽梨ちゃんの視線が痛いほどあたしに向けられていたけれど、気づかないフリしてあたしも大広間を出た。