「気持ちはわかるよ美凪。でも……」

「わかってるよ、理人。だけど相手側も、そんな大きな動きを見せて無いんでしょ?」

「確かに、それはそうだけど。」


叔父さんが襲撃された時点で、大きな動きを見せていない、とは言いにくいだろうけれど。そう理人に懇願すれば、理人は気まずそうに視線をそらす。

やっぱり無理か、と引き下がろうとしたとき、背後から予想外の人物の声が響いた。


「……理人サン、俺が付き添います。だから、美凪サンをボスのところに行かせてあげてくれませんか?」

「……莱?」


しばらく言葉さえ交わしていなかった莱からの、まさかの提案。
目の前の理人もケイも驚いているようだけれど、1番驚いたのは恐らくあたしだ。


「美凪サンの気持ちは、理人サンが1番良くわかってるはずじゃないですかー。」


あたしの危険をかえりみないわがままに、莱自ら名乗り出てくれるなんて思ってもいなかったから。