透明水彩


未だ納得できないあたしへ手を伸ばし、優しく頬に触れた後、理人は優しく微笑んだ。


「いいんだよ、美凪。もういいんだ。だから美凪は、婚約のこととか諸々、俺に関しての事柄にこれ以上囚われる必要はない。」

「でも……!」

「確かに釈然としないかもしれないし、それこそが美凪だと思う。でも最初に言った通り、今の美凪とこの時代の美凪は同じ君だけど、やっぱり違う。それに……、」


そこまで言った理人は、一旦立ち上がってあたしの隣へと腰を下ろす。そして、続けた。


「それに、たとえどんな立場になったとしても、俺はずっと美凪の味方でいるよ。美凪が望むのなら、傍に居る。」

「り、ひと……?」

「もちろん、幼なじみとして、だけど。今の美凪の、気持ちを邪魔するつもりなんてないからね。」


理人は、やっぱり理人だ。
誰よりも何よりも、あたしのことを考えてくれてる。あたしの気持ちを、見透かして支えてくれる。

訳もわからず零れ落ちる涙を隠すように、理人の胸へと顔を埋めた。

理人はきっと、あたしよりもあたしのことを理解してくれてるんだね。どの時代でも。