「こんにちはー。」
からん、とドアを押し開けると同時に響いた鈴の音に被るように、莱の声も響く。
どうやらお昼のピークは過ぎたようで、店内には疎らに人が存在する程度だった。
「あらぁ、莱くん。お久しぶりねぇ。」
刹那、背後から響いた声に驚いて振り返る。するとそこには、若干ケバい店員らしき人がいて。
「どーも。」
「元気だったかしら?」
「まぁ、おかげさまでー。」
名札に“チーフ 杉山”と書かれたその店員は、何だか親しそうに莱と会話を交わす。
そんな様子をただ眺めていると、ふと、その杉山さんと視線がぶつかった。
じっとあたしを見つめる視線に、どきり、と衝撃が走る。もしかしてこの人は、この時代のあたしのことを知ってる人なんじゃないか、そんな不安が胸をよぎった。
…――けれど。
「……あら。莱くん、もしかしてその子、彼女かしら?」
紡がれた言葉は、あまりにも予想外で。ニタニタと笑う杉山さんと大きく息を吐く莱に気づかれないよう、ほっと胸を撫で下ろした。


