透明水彩


そして莱に引かれるがまま、その敷地内へと踏み入れる。頑丈なドアの向こうには、防壁の外とは全くの別世界が広がっていた。


「美凪サン、行きますよー。」

「え?あぁ、うん。」


まるで、小さな街をそのまま再現したような。見た目や配置こそまるで見覚えはないけれど、雰囲気そのものは7年前の世界と変わりない。


「……ついでですし、何か必要なものとか、揃えたいものがあれば、買っていきます?」


一通り今の市街地を見終えた後、そう言ってくれた莱の提案に甘え、さっき彼から教えられたばかりの服屋さんに立ち寄ることにした。

いくらこの時代のあたしの私物が残っていたとはいえ、さすがにそろそろ買い物をしたいと思っていたのも確かだったし。

立場上、贅沢なことを言っていられないのはわかってるつもりだけれど、まだまだ長いこの時代での生活を考え、数着の服を購入した。