透明水彩


「……いいですよ、美凪サン。俺でいいなら、今日は美凪サンに付き合いますけど。」


そして紡がれた言葉に、湊とほぼ同時に莱の方へと視線を向ける。目に映る相変わらずの無表情は、本心として何を思ってるのかイマイチわからなかった。


「ほら、これで断る理由もないじゃん。オレはここで留守番してっから、さっさとアイツと行ってこいっての。」


けれど、ムカつくほどの笑顔でそう言う湊の言う通り、断る理由なんてものはない。

だからあたしは、湊の脇腹に思い切り肘鉄を喰らわせた後、改めて莱の方へと振り返った。


「……いいの?」

「ハイ。……ってことで、さっさと行きますかー。」


がたん、そんな音をたてて莱が椅子から立ち上がる。そしてゆっくりと歩き始めた莱を追い掛けるように、あたしも大広間をあとにした。


「…――っ、普通に痛ぇし!加減しろよバカナギ!」


背後からのそんな声は、一切無視を決め込んで。