透明水彩


――そして。


「やっぱり無理。オレやーめた。ナギのお守りとかめんどくせぇし。だから、莱とでも行けよ。ほら、アイツ今超ヒマそうじゃね?」


莱を見ながら、湊は楽しそうに自分勝手な理由を述べ始める。
しかも、あたしのお守りって……

だけど、それにしても何なの。
つい数秒前までは、普通に行く気だったくせに。

莱の方へと振り向くと、彼は突然振られた話に少し驚いているようにも見えた。まぁ、相変わらず無表情だったけれど。


「今暇なのは、あんたも同じでしょ。」

「はぁ?莱とオレを一緒にしてんじゃねぇよ。」


一緒にするしない別として、湊があたしの反応やら何やらを楽しんでいるのは、もう明らかじゃない。

…――あぁ、やっぱり。
今のタイミングで、湊に頼みに来たのは間違いだったっぽい。

例の如く長々と続きそうな論争に、あたしの背後で莱が大きなため息をついたのが聞こえた。