透明水彩


すると、大広間に近づくにつれてだんだん聞こえてくる話し声。
中に居るのは湊だけじゃないのかとゆっくり覗き込めば、目に映ったのは雑誌を見ながらソファーに寝転がる湊と、テーブルに突っ伏している莱の姿だった。


「………あれ、どうしたんですかー?美凪サン。」


いち早くあたしの存在に気づいた莱が体を起こしながら、さも不思議そうに問いを紡ぐ。そんな莱の言葉に反応してか、雑誌に注がれていた湊の視線がゆっくりとあたしに向けられた。


「……あ?ナギ?」


一瞬かちあった視線に、気まずさを覚えたのはやっぱりあたしで。それを悟らせないようにと、脇目も振らず未だ湊の寝転がるソファーまで詰め寄る。


「……何だよ。」

「あたしを外に連れてってよ。」


そして怪訝そうにあたしを見上げる湊に向け、端的にそう言葉を放った。すると湊は、その言葉の真意を汲み取ろうとしたのか、不思議そうにあたしを見つめる。

けれど刹那、思い切りしかめられた表情とともにさも嫌そうに紡がれた言葉は、ある程度予想できたものだった。