透明水彩


「美凪?」


でも、いきなりそんな思案に耽り始めたあたしを不審に思ったのか、理人はゆっくりとあたしの顔を覗き込む。


「どうかした?」

「あ、ううん。じゃあ、湊に頼んでみる。だから理人は、藍香と仕事頑張ってきて。気をつけてね。」

「あぁ、ありがとう。」


だからそう言って笑いながらごまかし、理人とともに部屋を出た。
そして相変わらず薄暗い階段を上がり、若干明るい地下1階の廊下へと出る。


「…じゃあ、今日は向こうのゲートを使うから、俺は行くよ。佑稀は多分大広間にいると思うから、美凪も外に行くときは気をつけてね。」

「うん、わかった。」


最近知ったのだけれど、このアジトには数箇所の出入口があるらしい。
あたしがまだ使ったことのない出口に向かっていく理人に背を向け、あたしも大広間へと足を向けた。