「とりあえず美凪、早くドア閉めて……って、美凪?」
理人の言葉を耳に留めることなく、勝手に室内へと足を進める。あたしの手から離れたドアは、背後でパタン、と音をたてて閉まった。
そんな中、不審そうにあたしを見る理人に近づき、ワイシャツの上から左上腕部に触れる。
…――きっともう、痛くはないのだろう。
でも、確かに、見えた。
まだ、確かに、あった。
7年前のあたしの世界で、あたしを庇って理人が負った、あの、傷痕が。
「……美凪、これは、」
「ごめんね、理人。」
あたしが何を考えていたのかを察したのであろう理人が、何か言葉を紡ごうと口を開いたけれど。
それを遮るようにあたしが紡いだ、謝罪。
確かに、酷い怪我だった。けれど7年も経った今も、あんなに傷痕が残っていただなんて。
「ごめんね、」
謝ることしかできず、鮮明に思い出される記憶に、ただ唇を噛み締めた。


