透明水彩



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しばらくこんな地下にもぐりっぱなしじゃ、さすがに飽きてくるのは仕方ないことだと思う。

あたしがこの世界に来てから、アジトの外に出たのは莱との一度きり。

地下4階以下にはトレーニングルームや格技場、さらには射的場があるにはあるけれど、毎日そこで1人時間を潰すにも限度がある。

それに、荒廃したと言われる土地を、住んでいた場所を、今自分の目で確かめたいと思ったのは事実だった。

あたしが発端で起きたらしい抗争、現時点でこの時代のあたしの死を以て収束しているとはいえ、今のあたしには関係ないと、そう割り切るわけにはいかないと思う。

やっぱりまだ、多少は危険なのかもしれない。
事実、あたし自身が多少なりともアジトの外界に恐怖を抱いていることも否めない。

それでもあたしは、知らなければいけない。
見て、受け止めなければいけない。

抗争の当事者のひとりとして。