透明水彩


「……いいえ。正確には、ROSAの人だった、ですかねー。」

「え?」

「もう死んじゃったんですよ、その人。」


死ん、じゃった……?

思いがけない事実に、チクリと胸が痛んだ。
触れてはいけない話題だったのではないかと、こんな話題を持ち出してしまったことを後悔する。

けれど莱は、視線を空から離さないまま、あたしのそんな後悔にも気づくことなく、ただ淡々と言葉を続けた。


「守りたかったのに、これっぽっちも守れなくて。最終的にツライ決断させて、死なせちゃったんですー。」

「待って莱。死なせちゃった、とか、全く意味が……」

「結局俺は、守りたいとか大層なことをほざいてただけで、実際に守られてたのは俺達の方だった。事実は、それだけですよー。」


そこまで言ってから、ゆっくりと夜空から下ろされた莱の視線は、真っ暗な宙を数秒間彷徨った後、おもむろにあたしを捉える。

そして寂しそうに、哀しそうに、悔しそうに。
たくさんの気持ちが入り混じったような、自嘲的な笑みを浮かべた。