透明水彩


刹那、ふと脳裏を過ぎったチェリーピンク色。
その色の髪を持つ、可愛らしい女の子――芽梨ちゃんの笑顔が、目の前の莱とリンクする。

…――芽梨ちゃんは、莱が好き。

その事実が無限に脳内を巡り始めて、聞かないではいられないとでもいう衝動が、体中を駆け巡る。


「……ねえ、莱。1つ聞いてもいい?」

「はい?」

「芽梨ちゃんって、莱の彼女?」


予想外の問いに驚いたのか、一瞬目が見開かれた莱の表情。でもそれは本当に一瞬で、刹那、さもおかしいものを見たかのように、莱は吹き出した。


「ぶはっ!! まっさかー。そんな訳無いじゃないですか。何をどう見て、そんな誤解するんですかー?」

「いや、ほら。普通に仲良さげだし、湊がそれらしいこと言ってたし。それに芽梨ちゃんだって、あんなに堂々としてるし、ねえ?」

「湊センパイも相変わらずウザいですねー。でも、本気で違いますから。そんな誤解、しないでくださいよ。」


……あたしが気にしすぎてただけ、か。
なおも笑い続けて否定する莱を見ながら、ほんの少し安心している自分に気づかなかったフリをして、引き攣る顔に小さく笑みを貼り付けた。