透明水彩


「んなわけないだろ、湊のバーカ!」


こんな態度をとってしまったら、さっきの問いに、答えずとも肯定しているようなことだというのは、わかっていたけれど。

これ以上湊に心中を察されたくなくて、察されるのが怖くて。ガキくさい捨てぜりふを残し、あたしは階段を駆け上がった。

…――だって、何?

仕事に行った2人が今ごろ何をしていようが、あたしには関係ない。気にしたってしょうがない。

悶々とした気持ちを抱えながら厨房へと向かって廊下を歩き、大広間の前へと差し掛かった。

すると、不意に耳に届く聞き覚えのある声。
まさか、とは思いつつこっそり大広間を覗き込めば、案の定、そこには莱と芽梨ちゃんの姿があった。

ヤバい、と思うより微かに早く、あたしと莱の視線が絡む。何事もなかったように足早に来た道を戻りかけた刹那、


「……美凪サーン。」


背後からあたしを呼び止める声に、反射的に足を止めた。