透明水彩



◆◆◆


夕食時、まだ任務とやらから帰ってきていないのか、2人の姿は大広間になかった。

夕食を終え、部屋に戻ってからも無駄にあの2人のことを気にしている自分に気づき、思い切り頭を振る。

何だか自分でも良くわからなくなってきて、気晴らしでもしようかと、厨房で明日の朝食の準備をしているであろう藍香のところへ行くことにした。

けれど。


「おい、ナギ。」


部屋を出た瞬間に掛けられた、声。
確認するまでも無く、それは湊の声で。ゆっくり振り向けば、奴の金髪がムカつくくらい綺麗に蛍光灯の光を反射させている。


「……何。ってか、ここは女子のフロアでしょうに。何であんたがいるの。」

「へへっ。べっつにー。ただ、メシの時、ナギが無駄に静かだったから、いちおー様子見に来ただけだっての。ありがたく思え。」


無駄に静かだったから、って……。
そんなに、いつもと違ってた?

恐らく、あからさまに表情を曇らせてしまったのであろうあたしを見て、“一応”様子見に来てくれたらしい湊は、楽しそうに口角をつり上げた。