透明水彩


「もうっ!莱サイテー!あたし、今日のためにこの前の長期任務を頑張ってきたのに!」

「すみません、美凪サン。任務あるの、本気で素で忘れてましたー。」


芽梨ちゃんの不満を軽く聞き流し、そうあたしに言うのが早いか、若干…否、かなりふて腐れた芽梨ちゃんに引きずられるようなカタチで、莱は大広間を出ていく。

それと入れ替わるかのように大広間に入ってきたケイは、去っていく2人の後ろ姿を見つめ、ボソリ、と呟いた。


「……ったく。肝心の相手があんな莱みたいなヤツじゃあ、芽梨も報われねぇよなあ。」


その言葉に、ドキッと小さく胸が鳴る。というか、ちくりと痛む。

…――芽梨ちゃんは莱が好き。

わかってはいたことながら、何だかその事実がどうしようもなく胸を掻き乱したのは、疑いようもなかった。

どうしてか、なんて、全くわからなかったけれど。
考えると余計もやもやが募る気がして、これ以上考えるのをやめた。