透明水彩


――刹那、


「あーっ、莱!やっと見つけた。こんなところにいたんだぁ。」


凄まじい足音と高い声と共に登場した芽梨ちゃん。
彼女は先日同様、勢い良く莱に抱き着き、満面の笑みを浮かべる。

そんな目の前の様子に、もやっとした得体の知れない何かが胸に広がりかけたけれど、ドアの方から聞こえてきた低い声により、深く考えることなく思考を引き戻す。


「おい、クソガキども。仕事だぁ!」


聞き覚えのあるその声の主は、予想に違わずケイで。
彼は廊下から顔を覗かせ、莱と芽梨ちゃんへと視線を向けている。


「……仕事?」

「そーだよ、莱!今日はあたしと仕事だったでしょ。忘れてたの?」


ぼけっとした表情の莱を追い詰める芽梨ちゃんの一言に、莱は刹那、何かを思い出したようにあからさまにヤバい、という表情を浮かべた。