透明水彩


「………慣れました?」

「へ……?」


刹那、いきなり莱から問われ、何を問われたのか瞬時に理解できなかったあたしは、気の抜けた声とともに首を傾げる。

そんなあたしの態度を気にする訳でも無く、莱は再度、先程よりも詳しく問いを紡いだ。


「ほら、かれこれ1週間くらい過ぎたじゃないですか。美凪サンがこっちに来て。だから、だいぶこっちの世界には慣れましたか?って。」

「……あぁ。それはもう、おかげさまで。」


慣れた、と言っても、あたしのこの世界での生活は、今のところこのアジト内に限られている訳だけれど。

とりあえず、最初の頃よりは明らかに不安も減ったし、雨の日だって、地下2階の自分の部屋に篭っていれば雨音を聞かずに済むから、前みたいな醜態を晒すこともない。


「それならよかった。」


そう小さく呟いた莱に、あたしは小さく笑みを返した。