透明水彩


「え、あれ? 美凪サン?」

「色々ありがとね、莱。
…あたし、やっぱりまだちょっと具合悪いみたいだから、もう少し自分の部屋で休むことにする。」


適当な言い訳を並べ、ただ微笑を貼付ける。でもまぁ、適当な言い訳といっても、全てが全て嘘という訳ではないけれど。


「大丈夫ですかー?
一応、部屋まで送ります?」

「ううん、大丈夫。階段下りて、すぐそばがあたしの部屋だし。」

「そーですか。なら、くれぐれも階段から落ちないように。」

「あはっ。何よ莱、あたしはそんなにドジなんかじゃないよ。」


あたしを心配してくれているようで、軽く馬鹿にもしているようで。

相変わらず小生意気な莱にたたんだタオルケットを返し、あたしは大広間を出る。

薄暗い階段を半ばほど下りるまで、芽梨ちゃんの高い声が耳に届いては反響した。