透明水彩


「相沢芽梨でーす。…本物のアナタと会うのは初めてですね、美凪さん。」


相沢芽梨(あいざわ めり)……、

その名前を聞いてふと、昨日のことを思い出す。藍香の部屋の隣、“MERI”と名札が掛けてあった部屋、あそこはこの子の部屋だったのかと、1人納得した。


「いやーもうね、スッゴく任務に時間かかっちゃって。たいちょーが組んだ予定より、2日も長引いちゃった!」

「……それはただ単に、芽梨のスキルがカスだからだろー。」

「うっわ。それ、超ひどいんだけど!」


口を開かないあたしを尻目に目の前で繰り広げられる、あたしが入っていけそうにもない会話。無表情の莱はともかく、初めて会ったはずの芽梨ちゃんからは、明らかにあたしを邪魔者扱いするような、敵視するような、そんな雰囲気が漂っている。

…まぁ、さっきまでの彼女の言動で、そのくらい気がつかなかった訳ではないけれど。初めて会ったあたしにもわかるくらい、あからさまな莱への愛情表現。

あたしがこの場にいつまでも居座るのは場違いな気がして、ゆっくりとソファーから立ち上がった。