ひゅーっ…と冷たい風が肌をなでた。 季節は冬。 こんなに寒いのに、道行き交う人達は、楽しそうに歩いている。 ―…自分の最寄り駅の改札で、あたしはしばらく立ちどまっていた。 冷たくなった手を、自分の息であたためる。 マフラーをもう一度きちんと結びなおして、家へ帰るための道を、一歩…また一歩…と進んでいく。 なん歩進んだ時だろうか…。 トントンッ…。 誰かに肩をたたかれた。