と言った。


「ええ」


「大変だろ?殺人事件の弁護は」


「そうですね。ですけど、私は弱い人の味方になるつもりですから」


「これからも頑張ってくれよ。期待してるぞ」


 すると不意に脇から高階が来て、


「ああ、川谷先生。私の後輩の美津濃弁護士にもお声をお掛けください」


 と言い、酒席に入ってきた。


 江美が軽く一礼する。


「高階先生、優秀な若手弁護士をたくさんお持ちで、羨ましい限りですね」


「そんなことありませんよ。そちらだって優秀な方はたくさんおられると思いますし」


「うちの事務所は啓徳大(けいとくだい)法学部出身者が多いんですよ。私大出身ばかりですから<新宿ロイヤルローオフィス>の方たちが羨ましい」