僕ぐらいの年齢の弁護士なら、一応事務所では個室を持っていても、仕事は雑用ばかりで基本的に下部の方だ。


 毎日ドッと疲れが来る。


 ずっとパソコンに向かい、電子化された資料を整理したり、上司である須山のパソコン宛に関係書類を転送したりしていた。


 弁護士というのは誰もが憧れる職業である。


 医者などと同じで。


 だけど弁護士事務所に所属しているとはいえ、最初の数年は雑用係だ。


 することは3K労働なのである。


 商法を専門にする江美も資料を読み続けていた。


 上司の高階にいろいろと教え込まれながら……。


 僕も同じ事務所にいて、刑法と商法はまるで違うことを感じていた。


 一応六法は丸暗記しているのだが、専門以外の分野では手も足も出ない。


 江美も刑法の一部は知っているようだったが、さすがに木崎朱莉に容疑が掛かった殺人