彼女がコーヒーを一杯淹れてくれていた。


「ああ、ありがとう」


 そう言ってカップを受け取り、飲み始める。


 心労は確かに絶えることがない。


 それは分かっているのだった。


 特に弁護士として司法の最前線に立っている以上、そういった苦しみは抜けない。


 でも江美がいてくれるから大丈夫だ。


 彼女が僕を支えてくれていることに間違いはない。


 どんなに強い逆風が吹いていても、乗り越えられると思っていた。


 焦らないで一つ一つ乗り越えていこうと感じている。


 それに僕も片時でも業務のことを忘れられれば、それでいいと思っているのだった。


 一歩ずつ歩きながらも、時は過去のものになっていく。


 深呼吸して、朝の島の空気を吸い取った。