――ああ、先生。四年前、弁護を担当してもらった今田です。


「ああ、今田さん。お久しぶりですね。お元気でしたか?」


 ――ええ、お陰様で。今、会社の固定から掛けてます。


 今田研吾は四年前の二〇〇八年に新宿区内の飲み屋で深夜に酒を飲んでいる途中、一緒にいた同僚たち三人と掴み合いになり、喧嘩になって殴る蹴るの暴行を働いた。


 相手のうち二人が後頭部に大怪我をし、一人が背中に深手の傷を追っていて、今田は駆け付けた新宿中央署の強行犯係の刑事により、暴行罪の現行犯で逮捕された。


 その現場に真っ先に駆け付けたのが山井さんを誤認逮捕した神宮警部だ。


 警察官も始末が悪いなと思うことが稀にある。


 今田は相手に怪我を負わせていたので署へと連行され、取調室で取調べを受けた結果、容疑を認めた。


 傷害罪が適用され、所轄から東京拘置所へと護送される。


 三人の人間に傷害を負わせていて、僕が弁護を担当した。


 第一審で懲役一年、執行猶予二年が言い渡されて、今田は二度とそういったことがないよう飲み屋での飲酒を絶ったようだ。