真犯人が自供したからだ。


 警察用語で言えば、ウタったのである。


 警視庁内の取調室は高度に可視化されていて、全ての情報を知ることが出来た。


 そして捜査は一通り終わったのである。


 二月半ばから始まる裁判に向けて、東京地裁で準備が整いつつあった。


 僕たち新宿ロイヤルローオフィスの人間たちは皆、裁判を傍聴するつもりでいる。


 野川を弁護するのが、品川ボールディング法律所所属の弁護士だった。


 ずっと裁判の行方を見守るのが、僕や江美、須山など同じ事務所に所属する関係者たちの任務だ。
 

 野川が法廷内でどんなことを言い出すのか、見ものである。


 何はともあれ、事件は一定の段階へと来た。


 後は司法の場でどんな決定が下されるか、だけだ。


 僕たち弁護人は同業者がどんなことをするのか、ずっと見守り続けるつもりでいた。