必ず裁判で木崎の無罪を立証するつもりでいた。


 かなりの責任を伴うのだが、彼女の今後の人生のためだ。


 決して無実の人が不当な形で、抑圧されるのだけは避けたい。


 その日、カフェでコーヒーを飲みながら、江美の持ってきていたノートパソコンで事実関係について、改めて整理し直す。


 納得が行くまで。


 そしておそらく検察が執拗に突いてくるであろう調書の細かい内容に関し、部分的に詰め直す。


 一応空のフラッシュメモリを一本持ってきていたので、江美のパソコンに取り込んであった今回の事件の調書をコピーした。


 この調書の矛盾点を突けば、木崎朱莉が犯行に関わっていなかった事実が立証される。


 事務所に戻ったら、自分のパソコンにこのデータを取り入れるつもりでいた。


 多分、遅くまで仕事をすることになるだろう。


 僕ぐらいの年齢の弁護士なら徹夜も利くぐらい十分体力があるからだ。