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 一月初旬、東京地裁で、警視庁の捜査員によって寺田充殺害の疑惑が掛かっていた篠岡幸子と中邑靖志両名の判決が言い渡された。


 第二回目の証人調べはすでに済んでいる。


 結果は大方の予想通り、殺人罪適用による死刑判決だった。


 当然だろう。


 巧妙なまでに共謀して、人を一人殺しているのだから。


 篠岡らの弁護人は即日控訴する旨、記者会見を通じてマスコミに伝えた。


 こういったとき、弁護士は狂う。


 何としてでも無罪か、最低でも懲役刑を勝ち取りたいのだ。


 それは僕たち弁護に直接関わっていない人間でも分かっていた。


 だけど、どう考えても篠岡と中邑は結託して寺田を殺害し、その罪を木崎朱莉に擦り付けている。


 どう考えても死刑相当の罪が科されて当然なのだった。