マスコミが、


「なぜ最高裁まで争われないのか、理由をご説明ください」


 と散々言ってきたが、能島は、


「私にはそこまで出来ません。一審・二審ともに納得のいかない結果ですが、甘んじて受け入れるしかないと」


 と返し、時々俯いた。


 そして口を閉ざす。


 しばらく焚かれたカメラのフラッシュを浴びながら、この事件の公判で完全に須山に負けたのを痛感したようだ。


 須山は別の場所で開いた会見で、


「木崎さんの基本的人権が尊重され、無罪も証明されて、本当に意義のある裁判だったと思っています」


 と言い、事実上の勝利宣言をした。


 やはりやり手の弁護士は違うなと痛感させられるような感じだ。