「多分余裕だろうな」と。


 それぐらい今の須山は横顔が光っている。


 勢いに乗るような。


 数日が経ち、いよいよ控訴審の日がやってきた。


 ホテルクラークの林綾子も事前に出廷を拒否する旨伝えるなど、原告側は相当不利な状態で、証人調べも簡略な形で終わる。


 そして裁判官と裁判員が集まって協議し、第二審では第一審に続き、再び木崎朱莉の無罪が言い渡された。


 須山は判決文が朗読されるのをじっと聴きながら、何かを感じているようだ。


 頭痛で少し頭が痛むようだが、じっと聴き入っていた。


 やはり極度の緊張が強いられると頭痛持ちの人間は辛いのだ。


 閉廷後、一審に続き二審も敗訴した能島が記者会見を開いた。


「残念な結果ですが、上告は断念いたします」というのが会見の要旨で、一時間ほど記者クラブで話し続ける。