「ああ、いいな。ちょっと冷え込むけどね」


「大丈夫よ。スーツの上にオーバー羽織ればいいじゃん」


「そうだな」


 厚着をして事務所を出る。


 外は寒風が吹き荒んでいた。


 腕を組んで歩き出す。


 やはり恋人同士なので、遠慮することはないと思った。


 確かに僕と江美は二つしか違わない。


 それに同じ東都大出身で、弁護士という職業にある。


 共感できて当然だった。


 新宿の街を歩きながら、外が冬枯れているのを感じる。


 この街は夜になれば不夜城と化す。


 特に歌舞伎町などは悪の街だ。