真夜中の森。 あたしは一人、空間転移の魔法で降り立った。 辺りに人の気配がないことを確かめてから、魔法の指輪を一振りする。 指輪から黒い騎馬が出現した。 「黒香(くろか)、ひさしぶりだね」 黒香は魔法の召喚獣だけど、あたしにとっては大事な愛馬。 鼻をなでてやると黒香は目を細めた。 「さあ、行くよ」 あたしは黒香へひらりと騎乗して、人馬一体、駆けだした。 しばらく走ると、目的の場所――アルバードの領地の村へ着いた。 あたしは酒場の裏手へまわった。 勝手知ったる、隠し扉の場所。