<プロローグ> 満身創痍の美しい男。 人に在らざる存在、魔王。 とどめを刺そうとする少女。 世界を解放せんとする、勇者。 勇者の剣が振り上げられた。 魔王が苦痛の表情で口を開く。 「……世界の半分をお前にやろう」 「なにをくだらないことを!」 「お前の愛する男――アルバード王子とは身分違いの恋だろう?」 「!?」 「このまま世界を解放したらその恋は……」 ――キット、カナワナイ―― 勇者の心に『少女』が還ってくる。