【第二部】鬼に愛された女



「なんでよ。そこはその優れた男鬼に頭領になってもらえば良いじゃない」


「前頭領を慕っていた貴族は多いため、娘の琥珀様に次いでほしいと思っている方もいるのです」

それにっと、付け足し、近江は話を続ける


「琥珀様は百鬼家のものです。琥珀様にもなる権利はありますから」


琥珀は不安の気持ちを隠せなかった


私には無理だよ


お父様がどんなに慕われていたとしても、私には頭領になれない


人間として生きてきたのに、鬼の頭領なんて務まるはずがない