女が100人いたら、100人全員が「優しそう。」と形容しそうな笑顔だ。

「おんなじカラオケ屋でバイトしてたんです。あ、カラオケ屋は先週辞めたんです。密室だと思って無茶するお客さんが多くて、危ないから辞めろって彼が言うから・・・・」

あんなに緊張してたのに、ねーちゃんは用意しておいたウソをすらすらとつく。

本番に強いタイプだ。

「あたし達、ラブラブなんです。今日もこれから映画に行くんですよ。」

あまりの演技力の高さを呆然と見ていた俺の腕をねーちゃんは、さりげなく握った。