ONESTAR

「……わかったわ。」

意を決したように、重々しくねーちゃんが言った。

「キスしていいのっ?!」

「よく聞いて。たぶん、あんたは覚えてないと思うんだけど。」

「何?」

「あんた達が来たばっかりの頃、あたし、誰とも関わり合いたくなかったから、食事も部屋で食べてたし、お風呂も夜中にしか入ってなかったの。」

そうだ。

確かにそうだった。

ねーちゃんとは、引っ越してきた初日に会った記憶と、

あとはもう、俺の引きこもり克服大会に参戦してたって記憶しかない。

「ある日ね、あたしがお風呂に入ろうとしたら、あんたがお風呂場で何かしてたの。」